1. 電力会社の料金のしくみ
まずは、電力会社の電気料金の仕組みを、九州電力の『従量電灯B 契約電流40A』を参考に説明します。
下図のとおり、使った分だけ金額が増えるのは次の3つの料金項目となります。このうち、③の電力量料金については、使った量が多くなるほど割高な設定になっています。
① 再エネ賦課金 1kwhごとに 3.45円
② 燃料等調整費 1kwhごとに 1.94円
③ 電力量料金 1kwhごとに 17.46円~26.06円
また、契約当初に設定した契約電流の大きさにより基本料金が決定します。
④ 基本料金(契約電流40A) 1,188円
[1カ月に600kwhを使用した場合の計算]
まずは、電力量料金ごとの電力量とその料金を求めてから、これに基本料金を加えたものが電気代となります。
0から120kwh までの電気使用量 120kwh (17.46+1.94+3.45)×120=2,742円
121kwhから300kwhまでの電気使用料 280kwh (23.06+1.94+3.45)×180=5,121円
301kwhから600kwhまでの電気使用料 300kwh (26.06+1.94+3.45)×300=9,435円
基本料金を加えます。
(2,742+5,121+9,435)+1,188=18,486円
計算の結果、『従量電灯B 契約電流40A』の契約で、月に6600kwhを使った場合、18,486円の電気料金が発生します。
2.太陽光発電施設を設置したときの電気料金の変化
それでは、太陽光発電施設を設置した場合は、電気料金はどのようになるでしょうか。
例えば、4.2kw規模の太陽光パネルを設置したときは、左図の通り、年間4,859kwh、月に平均405kwhの発電が期待されます。
そこで、月に600kwhを使用する家庭が4.2kw規模の太陽光パネルを設置した場合の電気料金の削減効果についてシュミレーションをしてみましょう(発電した電気の半分は家庭で消費、使い切れなかった分は売電(2023年度単価1kwh当り16円)した。
もし、上記のようなシュミレーションのとおりの削減効果が出来た場合、導入から10年間は、年間11万円程度の電気代が削減することができます。11年目からは、16円の買取が終了するので、およそ9万円(1kwh当り7円(九州電力)の買取)の削減できます。
3.太陽光発電施設の寿命
太陽光発電施設は、大きく2つの機器からできています。1つ目が太陽光パネル、2つ目がパワコンディショナーです。太陽光パネルは30年以上の寿命があると言われています。一方パワコンディショナー、通称、パワコンは十数年で寿命とされています。
実際に、あるご家庭の太陽光発電施設では、稼働13年目と24年目の太陽光パネルとも、故障なく稼働しています。ただしパワコンについては、稼働24年目のパワコンが5年ほど前に故障したため、交換して発電を続けています。
4.太陽光発電による電気はお得なのか?
これまでの結果から、30年間システムを利用した時の削減額と支出とを概算してみると次のようになります。なお、削減額については、機器の劣化が0.5パーセント進むと仮定しています。
- 削 減 額 2,338,000円
- 10年目まで 1,075,000円
- 残り20年 1,263,000円
- 支 出 額 ? 円
- 設置費用 ? 円
- パワコン更新 200,000円
- 廃棄費用 150,000円
上記では、あえて、設置費用は記載しませんでした。もし、設置費用が1,000,000円以下であったら、魅力を感じませんか。
さらに、次のようなことがあれば、上記のシュミレーションは変化します。
- 電気料金が今以上に上昇した 削減額は上がる
- 11年目以降に高い売電先に変更する 削減効果は上がる
- 設置を遅らせる 削減効果は下がる ※
- ※ 余剰電力の買取価格が毎年度下がってきているため
もやもや解決
- 電力会社との契約
- (問い) 毎月の電気使用量は400kwh以下です。4.2kwの太陽光システムを設置すれば、家の電気の全てを賄えないでしょうか?また、電力会社とも契約解除できそうですが。
- (答え) 太陽光発電は日中にしか発電しません。また、天気によ)って発電量は大きく変化します。よって、いくら毎月の電気使用料が少なくても電力会社との契約は必要となります。
- 導入しても、電力会社との契約は必要
- 蓄電池の導入
- (問い) 夜や天気の悪い時に備えて、蓄電池を設置すれば電力会社から電気を買う必要もなくなるのではないでしょうか?
- (答え) 理論的には可能かと思いますが、蓄電池は非常に高価ですし劣化も心配です。家庭で使う電気を完全に太陽光システムで賄おうとすれば、大規模に太陽光システムを構築し大量の蓄電池の設置必要となってしまいます。『それなら、1基だけ蓄電池を設置して--』では、結局は、電力会社との契約はなくせなくなります。
- 蓄電池の設置は採算化が非常に困難
- 太陽光システムは今大規模にするべきか
- (問い) 太陽光システムを導入しようと思います。せっかくなので、大規模に設置しようと思いますがどうでしょうか?
- (答え) 以前は、家庭で使い切れなかった電気は高価(最大は48円/kwh)で売電ができたので、『日中はなるべく電気を使わず売電』が良策でした。しかし現在は、16円/kwhでしか売電できないので、大規模に太陽光システムを導入し大量の電気を売電しても余り得策とは思いません。しかしながら、将来的に家庭での電気使用量が増加することが予想できる場合は、後で追加してパネルを追加するよりも買取価格が高い今のうちに投資しておくこともありだと思います。
- 現状は、売電より自宅で使い切れる規模が、良
- 将来、電気使用量が増える家庭は今のうち大規模、良
- EV車を次の車
- (問い) 次の車はEV車にしようと考えています。できたら、太陽光システムからの電気を使いたいのですが、EV車と太陽光システムとの相性はいかがでしょうか?
- (答え) EV車の時代がもうすぐ来ます。日中にEV車がある家庭では、太陽光システムとの相性はものすごく高いと思います。EV車が蓄電池の役割を果たすことも可能となってきます。自宅での充電は、200Vの普通充電であれば充電システムの設置費用も安価です。
- (日中に家にある)EV車と太陽光システムの相性は抜群